近年、少子高齢化と合わせ、日本国内における人口の減少が問題視されています。財務省の資料によると、日本の人口は2010年をピークに減少の一途を辿っており、2065年には1億人を下回ると予想されています。また、家族構成の変化も顕著になりつつあります。このような状況を見据えたマンション経営の考え方についてのポイントと注意点について解説します。
目次
日本における人口減少の実態
財務省の資料によると、2021年現在の日本の人口は1億2,484万人です。その割合をみると19歳以下の人口は16%(2,044万人)、20歳から64歳までの人口は54%(6,801万人)、そして、65歳以上の人口は29%(3,639万人)となっています。
では、この割合は今後どのように推移するのでしょうか。
2065年には19歳以下の人口の割合は14%(1,237万人)、20歳から64歳までの人口の割合は48%(4,189万人)、そして65歳以上の人口の割合は38%(3,381万人)と予想されています。
年齢 | 2021年 | 2065年 |
---|---|---|
19歳以下 | 16%(2,044万人) | 14% (1,237万人) |
20歳 〜64歳 | 54% (6,801万人) | 48% (4,189万人) |
65歳以上 | 29% (3,639万人) | 38% (3,381万人) |
65歳以上の人口の数はやや減少していますが、割合としては約10%上昇しています。64歳以下の人口は国民全体に占める割合も人数も減少することがわかっています。そして総人口は8,088万人にまで減少するといわれています。
団塊の世代の高齢化
日本には、戦後のベビーブーム(1947年~49年)に生まれた「団塊の世代」と呼ばれる人達が存在します。
その世代が2022年には75歳以上となる現実が目前に迫っています。75歳以上の後期高齢者といわれる世代人数の移り変わりは以下のとおりです。
2018年 | 2022年 | 増減 | |
---|---|---|---|
65歳から74歳 | 1,760万人 | 1,497万人 | 約263万人の減少 |
75歳以上 | 1,798万人 | 2,180万人 | 約382万人の増加 |
このように、約10年の間に75歳以上の人数が急増していることがわかります。そしてこの現実によって、今後介護保障問題や若年層に対する税負担増など、さまざまな問題が懸念されているのです。
世帯構造の変化
また、厚生労働省の「2019年 世帯数と世帯人員の状況」によると、世帯の構造においても変化が見られることがわかります。
現在の日本において、世帯数は増加傾向にあるにも関わらず、平均世帯人員は減少傾向にあります。
2019年における世帯数は5178万 5,000世帯、平均世帯人員は2.39人となっています。1986年では、世帯総数が3,754万4,000世帯なのに対し、平均世帯人員は3.22人であったことを考えると、核家族化が進行していることがわかります。
また、現在と比べると3世代世帯の割合が1986年には44.8%でしたが、2019年には9.4%にまで下がっていることも、そのことを裏付けているといえます。
単身世帯が増加している
そして、「夫婦のみの世帯」や「夫婦と未婚の子どものみの世帯」、さらに「ひとり親と未婚の子どものみの世帯」の数や構成割合はここ数年大きな変化はありません。
一方で単身世帯がここ数年増加傾向にあり、そのなかには若い世帯もありますが、65歳以上の高齢者世帯も含まれている点も注目すべきといえます。
高齢者がいる世帯総数は1,487万8,000世帯となっており、そのうちの約半数である736万9,000世帯が単身世帯です。
増加し続けている点は、高齢者の住宅確保における問題や亡くなった後の空き家問題にも繋がっていくのではないでしょうか。
大都市圏に人口が集中
総務省が発表している人口動態(2020年1月1日現在)によると、首都圏への人口の流れが増加していることがわかります。
同調査では、人口の増減を自然増減(出生者数-死亡者数)と社会増減(転入者数-転出者数)に分けて掲載しています。
そのうち日本一の社会増となっている場所について、県別そして市区町村別でみると以下のとおりとなっています。
【社会増加数】
県別1位 | 東京都(+8万7,308人) |
---|---|
市区町村別1位 | 大阪市大阪府(+2万5,102人) |
【社会増加率】
県別1位 | 東京都(+0.66%) |
---|---|
市区町村別1位 | 東京都千代田区(+3.21%) |
また、東京圏、名古屋圏、関西圏の3大都市圏における人口は約6,448万人となっており、人口割合も約52%と14年連続で日本人口の過半数を大都市圏が占めていることがわかります。
マンション経営の重要ポイント「空室リスク」をどう防ぐか
このような現状において、これからマンション経営を行うにはどのようにすればいいのでしょうか。
マンション経営で重要になってくるのが、「どのようにして空室リスクを避け、常に入居者がいる状態を維持するか」です。そこでカギとなるのが「経営力」になります。
それでは、空室リスクを避けるために必要なマンションの経営戦略を解説いたしますので見ていきましょう。
2.立地の良い物件を選ぶ
3.信頼できる管理会社を選ぶ
4.新築マンションを選ぶ
5.ワンルームマンションを選ぶ
1.質の高い不動産会社を選ぶ
マンション経営は長期に渡ることから、マンションを購入した不動産会社との付き合いも当然長くなります。長い付き合いになるわけですから、実績が豊富で質の高い不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社を見極めるおもなポイントとしては以下になります。
・大手の不動産ネットワークをバックボーンに持つ
・自社で投資用マンションの物件を開発している
不動産会社には、「自社で開発した投資用マンションを販売している会社」と「他社で開発した投資用マンションを販売しているだけの代理店」があります。
この場合、「自社で開発した投資用マンションを販売している会社」のほうがマンション経営に関する実績が豊富です。
こうした会社にはマンション経営に関するノウハウが蓄積されており、空室リスクを防ぐことができます。
・大手の不動産ネットワークをバックボーンに持つ
また、大手の不動産ネットワークをバックボーンに持つ不動産会社も、そのネットワーク力を生かしさまざまなサポートをしてくれるので非常に質が高い不動産会社といえます。
2.立地の良い物件を選ぶ
空室リスクを下げるためには、入居したいという希望者が多くなる物件を選ぶことが大切です。
具体的にいえば、まずは大都市の物件を選ぶ必要があります。東京、大阪、名古屋、札幌、博多などの大都市には人が集まるため、常に賃貸の需要があります。
さらにいえば、「駅から徒歩10圏内」「近くにスーパーやコンビニがある」など、生活の利便性が高い立地の良い物件は非常にニーズがあり、空室リスクを大きく下げることができます。
投資物件である以上、選んでもらわなければ意味がありません。この物件だから入居したいと思わせるメリットが必要になってきます。
3.信頼できる管理会社を選ぶ
新築マンションにおいて、継続的な客付けを可能にし、収益を得るためにはどの管理会社に管理を委託するかが重要なポイントとなります。
管理会社を手数料の安さだけで選ぶと、入居者が家賃を滞納のした際の催促や、空室が生じた際のさまざまな手配などがおろそかになることがあります。
これでは物件の劣化が早くなり、いつまでも空室の状態にあるといったことになりかねず、長期的なマンション経営が難しくなります。
最も安心なのが自社で投資用マンションの開発を行い管理も行う会社です。自社の物件ならばマンションの特性をしっかり把握していますから、管理・メンテナンスもお手のものです。
4.新築マンションを選ぶ
投資物件の対象としてさまざまなタイプがありますが、できるなら新築マンションを選ぶことをおすすめします。なぜなら日本人は新築を好む傾向にあり、入居を希望する人も多数存在するからです。
中古物件と異なり、新築物件の場合であれば最新の建材が使用されていることから、「夏は涼しく、冬は暖かい」といった特性があれば、光熱費を抑えたい人には好印象に映るでしょう。
さらに、セキュリティ面でも単なるオートロックだけではなく、緊急時にはセキュリティ会社に連絡が届くなどのサービスが付帯していれば、防犯性を重視する人に対して非常に魅力的に感じるのではないでしょうか。
このような面は新築だからこそ受けられるメリットも空室リスクを防ぐ重要な条件になります。
5.ワンルームマンションを選ぶ
先述したとおり、単身世帯が増加しています。この傾向はしばらく続くことが予想されていることから、それにともなってワンルームマンションの需要も高まることが予想されています。
単身者が多く住むのはやはり大都市になります。「大都市」「立地がいい」「新築」「ワンルームマンション」、この条件を満たすことが今後マンション経営を行うにあたり必要になってくるといえるでしょう。
まとめ
マンション経営を一般的には不動産投資に分類されますが、厳密にいえば「投資」という不確実性が高いものではなく、「会社を経営」することに近いといえます。経営ですから、先を見据えた計画を立てることが必要になってきます。
ただ、初心者のうちは、どう先を見据えればいいかわからないかもしれません。だからこそ、信頼できる不動産会社を見つけ、プロから情報やアドバイスを得る必要があるのです。
ぜひ、今回紹介した「不動産会社の見極めのポイント」を不動産会社選びの参考にしてください。
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