マンション経営、特にワンルームマンション経営は収益の見込める投資先として、多くの投資家から人気を集めています。しかし、不動産投資では多額の資金が必要なため、リスクが不安な人は多いのではないでしょうか。
本稿ではワンルームマンション経営に失敗する人と成功する人の違いを紹介し、ワンルームマンション経営を軌道にのせるにはどうしたらいいのか、そのポイントや注意点を解説します。
目次
ワンルームマンション経営とは
そもそもワンルームマンション経営にはどのような特徴があるのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
ワンルームマンション経営における収入源
ワンルームマンション経営で収入を得る方法は、家賃収入によるインカムゲイン(運用益)と、マンションの売買による差額で利益を得るキャピタルゲイン(売買差益)の2種類があります。
・キャピタルゲイン(売買差益):マンションの売買による差額で利益を得る
ただし、現状の日本で不動産価格の大幅な変動は見込みにくいため、おもにインカムゲインを目的とした経営となります。つまり、マンションを購入し、そのマンションを貸し出すことによって、入居する人の家賃で収益を得ることになります。
ワンルームマンションの管理方法
続いては、ワンルームマンションの管理方法を解説します。新築ワンルームマンションの管理方法としては「自主管理」と「管理委託」があります。
・自主管理
自主管理とは入居者募集から管理運営までを不動産管理会社に委託せず、オーナー自身がすべておこなう方法をいいます。ただし、小規模なマンションであれば可能ですが、大規模なマンションでは困難です。また、サラリーマンが副業で行う場合は本業に支障が出ないように、不動産管理会社に委託したほうがよいでしょう。
・管理委託
管理委託とは、マンションの部屋の管理を不動産管理会社に委託する方法です。忙しくて時間がないサラリーマン、公務員、医師でも委託を行えば手間がかかりません。管理委託にすれば、入居者募集の手配からトラブル対応まで不動産管理会社が行うので、オーナーは本業に専念できます。
ワンルームマンション経営とアパート経営の違い
ワンルームマンション経営と同じ不動産投資としてアパート経営がありますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
ワンルームマンション経営とアパート経営は、「建物の構造」「収益性(利回り)」「ローン」の点で大きく異なります。
マンション経営 | アパート経営 | |
---|---|---|
建物の構造 | RC造、SRC造 | 木造、軽量鉄筋造 |
収益性(利回り) | 低い | 高い |
ローンの法定耐用年数 | 長い | 短い |
それぞれの違いを具体的に見ていきましょう。
建物の構造
マンションの建物の構造はRC造やSRC造である点が特徴的です。それに対してアパートは木造や軽量鉄筋造が多いといわれています。
階数でいうとアパートは2階建てまでの物件が多く、マンションは3階建て以上なのが一般的です。マンションはRC造であることから防音性や耐火性に優れており、構造面ではアパートより有利といえます。一方でアパートは建築コストが低いので、安い家賃で住みたい人の需要を取り込むことができます。
収益性(利回り)
利回りには年間家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」と、家賃収入から諸経費を差し引いた金額を物件価格で割った「実質利回り」の2種類があります。収益性を考える場合は実質利回りで見るほうが正確に判断できます。
実質利回りの相場は、マンションが中古区分所有物件で3%台なのに対し、アパートは5%台となっています。この数字だけを見るとアパートのほうが収益性は高そうです。ただし、利回りは満室時想定年収で計算するため、入居者を確保しやすく価格も安いワンルームマンションではアパートより有利になる場合があります。
ローンの法定耐用年数
ローンの法定耐用年数はアパートよりマンションのほうが長いといった違いがあります。建物の法定耐用年数は、木造アパートが22年、RC造のマンションが47年などと定められています。銀行が設定するローンの法定耐用年数も建物の構造や、新築か中古かなどによって変動します。
こうしたことから、アパート経営はワンルームマンション経営より借入期間を長くしにくい傾向にあります。ローンの年数が長ければ月々の支払額が少なくなるので、キャッシュフローの黒字化が期待できるでしょう。新築ワンルームマンションはローンの法定耐用年数が長いので、長期のローンを組める点でアパートや中古マンションより有利といえます。
ワンルームマンション経営で成功する人
ワンルームマンション経営はどうしても成功する人と失敗する人が出てきます。両者の差はどこにあるのでしょうか。
まず成功する人の特徴として、以下が挙げられます。
・先を見据えた投資計画を立てられる
・不動産市場や物件周辺のニーズやトレンドを敏感に察知できる
・不動産管理会社とコミュニケーションがとれる
新築のワンルームマンションを購入する自己資金がある
新築のワンルームマンションを購入できるだけの自己資金を持っている人は、成功する確率が高いといえます。ローン負担がないため、空室期間があっても耐えることができるからです。
ただし、自己資金だけでなく融資を受けることによって、自己資金の何倍もの物件を動かす「レバレッジ投資」で成功している人もいるため、一括購入することが必ずしも有利とは限りません。自己資金が多いことは理想ですが、仮に自己資金が少なくても融資を活用して自己資金を有効に活かすことは可能です。
先を見据えた投資計画を立てられる
短期売買が可能な株式投資と違い、ワンルームマンション経営は先を見据えた長期の投資計画を立てることが大事です。マンションはローンで購入した場合、完済した時点で純資産に変わるという特徴があります。もしローンの返済期間を短くしたい場合は、頭金を多く入れて借入金を少なくすることで調整可能です。
ローンの返済期間が短ければ、2つめの物件を購入して複数経営による事業の拡大を図ることもできるようになります。このように先を見据えた投資計画を立てられる人は、マンション経営で成功する可能性が高いといえるでしょう。
不動産市場や物件周辺のニーズやトレンドを敏感に察知できる
新築のワンルームマンションは、新築ですから物件そのものの履歴や実績がありません。よって、自分でゼロからニーズの調査やターゲットの設定を行う必要があります。安定的な収益を得るためには、市場や周辺のデータを客観的に分析し、物件の将来性を見極められることが成功のカギとなります。
特に入居者が求めるマンション設備のトレンドは毎年変化するため、ランキングなどを参考にしながら、入居者のニーズに適した物件を選ぶことが大事です。適正な家賃を設定するためには、不動産ポータルサイトの物件検索を利用して、物件がある地域の家賃相場を把握することも欠かせません。
不動産管理会社とコミュニケーションがとれる
ワンルームマンション経営においても不動産管理会社とのコミュニケーションは欠かせません。ワンルームであることから一棟物件のような管理会社との付き合いは必要ないと思いがちですが、区分所有1室の場合、空室が発生すればすぐに収入が途絶えてしまいます。
管理会社も物件に無関心で顔を見せないオーナーよりも、日頃からコミュニケーションがとれているオーナーの空室を早く埋めてあげたいと思うはずです。
また、将来2つめのワンルームマンション購入を考えている場合、管理会社に意向を伝えておけば優良物件を売り出し前に紹介してくれるかもしれません。やはりコミュニケーションを上手くとれる人のほうが有利といえるでしょう。
ワンルームマンション経営で失敗する人
一方、ワンルームマンション経営で失敗してしまう人にも一定の特徴があるといわれています。以下のような点に当てはまる人は失敗する可能性が高いので注意が必要です。
2.物件を見極めることができない
3.資金計画が不十分
4.競合物件をリサーチしない
業者の話を鵜呑みにしてしまい自分で考えようとしない
業者は多くの場合、物件のメリットを強調して話をします。しかし、デメリットがまったくない物件はほとんどないでしょう。自分で考えることをせず、業者の話を鵜吞みにして購入を決めると失敗する危険が大きくなります。
建物内部に関しては内覧のときに気になる点があったら遠慮なく質問して疑問を解決することが大事です。外観や周辺環境についてはあらかじめ現地に出向いて確認することができるので、そのとき気になった点をメモしておけば、内覧当日に営業担当者にスムーズに質問することができます。
物件を見極めることができない
物件の収益性を見極められない人はマンション経営に失敗する可能性が高くなります。物件を見るときに大事なのは価格の安さではありません。きちんと入居者を確保でき、毎月安定した賃料が入る物件であることが大事なのです。
ワンルームマンションの場合、主要なユーザーは独身の会社員や大学生など単身者です。通勤通学は時間との競争になりますので、駅に近い物件のほうが有利になります。
反対にファミリー向けなら学校や公園が近いなど子育てに便利な閑静な住宅街のほうが需要は多いでしょう。そのような物件の特性を見極めずに安いからといって郊外のワンルームマンションを購入すると、入居者の確保に苦労するかもしれません。
資金計画が不十分
資金計画を十分に立てずにマンション経営を始める人も失敗するリスクが高くなります。全額自己資金で物件を購入できる人は少ないので、不動産投資ローンを組むことが前提になるからです。
ローンは毎月の家賃収入から返済する形になります。そのため、収支が適切かどうかの判断が重要になります。
さらに、途中で空室になることも想定し、2~3ヵ月分の家賃に相当するくらいの予備費を確保しておくことも大事です。手持ちの資金をすべて頭金として入れるのは避けたほうがよいでしょう。
競合物件をリサーチしない
どんな事業でも競合は存在し、マンション経営では周辺にあるマンションやアパートが競合となります。入居者を確保するには、競合物件よりも優れたセールスポイントを作る必要があるでしょう。
競合物件をリサーチせず、周辺相場より高い家賃に設定していると少しずつ入居者が離れていく可能性があります。競合物件や周辺の環境を常にリサーチし、変化に対応できるようにすることで、競合に負けない安定した経営を維持できます。
ワンルームマンション経営を成功させる5つのポイント
失敗から学ぶことは大きな財産になるとはいえ、ワンルームマンション経営では安くはないものを購入するわけですから、失敗はしたくはないものです。
それでは、失敗を回避してワンルームマンション経営を成功に導くには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。成功のポイントを5つご紹介します。
2.リスクを見越した収支計画を立てる
3.資金計画に余裕をもたせる
4.物件の魅力を高める
5.信頼できる管理会社と組む
1.入居者のプレファレンスが高い物件に投資する
競争力の高い物件とは、入居者のプレファレンス(preference)が高い物件のことです。プレファレンスとはマーケティングの世界でよく使われる言葉で、直訳すると「好み・好物・選択物・贔屓」といった意味になります。
不動産業界においては、入居希望者の物件に対する相対的な「好意度」のことをいいます。つまり、プレファレンスが高い物件とは、不動産市場において魅力が高く、競合に勝てる物件です。
ワンルームマンション経営の成功では、このプレファレンスの高さが必須条件となります。投資先となる物件のプレファレンスの高さを実証するには、きめ細かな市場調査や周辺物件の調査が重要です。
2.リスクを見越した収支計画を立てる
ワンルームマンション経営は長期に渡ることから、その間にはさまざまなトラブルが起こります。部屋の設備が急に壊れてしまうことも少なからずあるといっていいでしょう。そのようなときには、オーナーが修理費用をまかなわなければなりません。
突発的な出費があることを想定して、家賃収入の一部を計画的に修繕費として積み立て、予期せぬ修繕の必要性に備えるなど、リスクを見越した収支計画を立てる必要があります。
3.資金計画に余裕をもたせる
投資用物件の購入には大きな資金が必要なため、多くの場合は金融機関から融資を受け、ローンを組むことになります。
しかし、借入金の割合が大きいと、空室が出た際にローン返済や管理料などの固定費により、キャッシュフローが苦しい状況になりかねません。
自己資金が多いとローン返済にも余裕がでてきますし、予期せぬ修繕の発生にも備えることが可能です。余裕をもった資金計画をたて、空室でも赤字にならないような運営を目指しましょう。
4.物件の魅力を高める
物件の立地や築年数は変えることができません。しかし、設備の増強によって物件の魅力を高めることは可能です。例えば、全国賃貸住宅新聞が発表した「入居者に人気の設備ランキング2021」では、単身者向けの1位が室内洗濯機置き場で、2位がテレビモニター付きインターホン。ファミリー向けの1位がテレビモニター付きインターホンで、2位が室内洗濯機置き場と共通した結果となっています。
自分の物件にこれらの設備がない場合は、導入することによって安定的に入居者を確保することにつながります。
5.信頼できる管理会社と組む
長期的かつ安定的なワンルームマンション経営を行うには、信頼できる管理業者を選ぶことが重要です。
新築ワンルームワンルームマンション経営の場合、継続的に入居者を確保して収益を得るには管理会社の良し悪しによって大きく違ってきます。
・管理委託手数料の安さだけで選ぶのはNG!
管理委託手数料の安さだけで選ぶと、家賃滞納や空室の状態が放置されている、入居者からのクレームやトラブルが増えるといった状況になりかねず、そうなるとスムーズなワンルームマンション経営が難しくなります。
新築ワンルームマンション経営を成功させるには、信頼できる管理会社を見つけることが非常に大切になってきます。
ワンルームマンション経営の注意点
新築ワンルームマンション経営を成功に導くためには、未然にリスクを防ぐことが重要です。そこでワンルームマンション経営における重要な注意点を解説します。
2.家賃下落・空室リスク
3.入居者トラブル
4.災害
1.物件価格・ランニングコスト
ワンルームマンションは物件価格が比較的高い傾向にありますが、管理費、修繕積立金は安くおさえられます。ただ、ワンルームマンションは固定資産税というランニングコストは高額になりがちです。
建物の築年数に応じて評価額は下がる傾向にあるので、ワンルームマンションの場合は新築であるがゆえに、中古マンションと比較すると固定資産税は高くなることをご理解ください。
2.家賃下落・空室リスク
ワンルームマンションの物件数は増加傾向にあり競合が多いともいえます。そうなると競争が激しくなり、空室リスクが高くなる可能性があります。
新築物件が多いと新築であることの価値が薄れ、競合物件との差別化ができないと空室期間の長期化につながりかねません。
このような事態を防ぐには、競合とは違う魅力を物件の付加価値として与えることが重要です。駅からの距離や設備面など、きちんと市場調査をして競争力を維持できる物件に投資するようにしましょう。
家賃下落や空室リスクを避ける具体的な対策としては、東京、札幌、横浜、名古屋など大都市圏の駅近物件を購入する方法があります。家賃は需要と供給で決まりますので、周辺人口が多いエリアであれば家賃を下げなくても十分に入居者を確保することが可能です。
3.入居者トラブル
ワンルームマンション経営において、入居者間のトラブルが発生することがあります。入居者間のトラブルが生じたら、自分だけで問題を背負い込まず、不動産管理会社への相談をご検討ください。
管理会社には入居者間トラブルだけでなく、家賃滞納やクレーム対応などを熟知しているプロが揃っています。こうした対応も含めて管理会社に委託することで、精神的な負担も大きい業務を代行してもらうことができます。
4.災害
毎年のように大きな自然災害が生じている日本では、災害リスクに備えた対策は必須といえます。投資先の新築マンションの地盤やリスクをハザードマップで事前に確認しましょう。
また災害リスクの対策として、火災保険や地震保険加入もおすすめします。ただし、保険に加入する際にはどのような範囲をカバーされているのか、保険料は適正な価格かなど、複数の保険会社を比較してから決めましょう。
信頼できる不動産会社を見つけよう
ワンルームマンション経営を成功させるには、オーナー自身が入居者のニーズを汲み取り、設備や間取りへ反映することが重要です。
新築マンションは人気の高い投資先のため、競合物件も多く存在します。競合とどう差別化して成功に導けるかは、物件を見極めるスキルが必要になってきます。
このようにワンルームマンション経営を行うにあたっては、覚えること、身につけなければならないことが多くあります。大変だと感じた方もいらっしゃることでしょう。
一人で勉強していくには確かに大変です。そこでおすすめなのが、信頼できる不動産会社を見つけ、プロから学びアドバイスを受けるということです。
不動産会社を見極めるポイントとしては、メリットだけでなくリスクもしっかり説明するところは良心的であり、検討してもいいといえます。
ワンルームマンション経営に興味がある方は、まずは不動産会社に足運び話を聞いてみる、そういったことから始めてみてはいかがでしょうか。
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