最終更新日:2024/9/4
 
マンション経営の金融機関の種類と特徴 ビジネスパーソンと好相性なのは?
(画像=sum41/stock.adobe.com)
本間 貴志
本間 貴志
ビジネス書・実用書専門の「アスラン編集スタジオ」の編集ライターを経てフリー。2015年より秋田県に移住、テレワークによる柔軟な働き方を実践中。

世の中にはたくさんの投資手法があります。投資で成功するために大切なポイントは、その中から自分に向いている投資手法を的確に選ぶことです。ここでは、代表的な投資手法を比較することで、「どんなタイプの人がマンション経営に合うか」を浮き彫りにしていきます。

目次

  1. 投資にはリターンを得る2つの方法がある
    1. キャピタルゲインとは
    2. インカムゲインとは
  2. インカムゲインを得るさまざまな投資手法の比較
    1. リターンの種類
    2. 流動性
    3. リスク
    4. 取引方法(窓口)
    5. 利回り
  3. それぞれの投資手法のメリット・デメリット
    1. FXのメリット・デメリット
    2. 株式投資のメリット・デメリット
    3. 投資信託のメリット・デメリット
    4. マンション経営のメリット・デメリット
  4. それぞれの投資手法が向いている人
    1. FXに向いている人
    2. 株式投資に向いている人
    3. 投資信託に向いている人
    4. マンション経営に向いている人
  5. ボラティリティの安定はマンション経営の魅力の1つ

投資にはリターンを得る2つの方法がある

キャピタルゲインとは

キャピタルゲインとは「資産を売却することで得られる利益」のことです。たとえば、株式・投資信託・FX・マンション経営などの売買差益が挙げられます。一例では、2,500万円で購入したマンションを2,800万円で売却すれば300万円のキャピタルゲインが得られることになります。

キャピタルゲインには、もう1つのリターンであるインカムゲインと比較すると、一定期間でハイリターンを得られる可能性があります。たとえば株式であれば、株価が数倍、あるいは10倍のテンバガーになることもあります。

インカムゲインとは

インカムゲインとは簡単にいえば「資産を保有していることで得られる利益」のことです。代表的な例としては株式の配当金が挙げられます。また、FXのスワップ金利やソーシャルレンディングによる金利などもインカムゲインといえるでしょう。

それらと並んで不動産の家賃収入もインカムゲインに含まれます。マンション経営の場合、家賃収入によって安定した収益が見込める一方、目先で大儲けするには不向きです。あくまでもじっくりと長期的に運用することを考えるべきです。

インカムゲインを得るさまざまな投資手法の比較

それでは、他のさまざまな投資手法とマンション経営はどう違うのでしょうか。今回はさまざまな観点から比較してみます。

FX株式投資信託マンション経営ソーシャル
レンディング
リターン
(インカムゲイン)
スワップ金利配当金分配金家賃収入金利
リターン
(キャピタルゲイン)
スプレッド株価の
値上がり益
基準価額の値上がり益収益物件の
売却差益
原則なし
流動性高い高い高い低い原則なし
リスク高い高い中間低い投資先による
取引方法(窓口)主にネット
証券
主にネット証券・証券会社証券会社や金融機関など不動産会社ソーシャルレンディングのプラットフォーム
利回りケースバイケース1.93%
※2024年9月時点での日経平均
2%半ば〜3%後半
※海外株式銘柄の20年間平均
3.5〜5%
※都心の新築マンション
2.5〜10%程度
※大手プラットフォーム公表値

※2024年9月時点での日経平均 1.93%
※海外株式銘柄の20年間平均 9.9%
※都心の新築マンション 2.5〜10%程度
※大手プラットフォーム公表値

リターンの種類

リターンの種類で見ると、FXは2国間の金利差相当額の「スワップ」、売り注文と買い注文の価格差である「スプレッド」があります。株式は株価が上がったときに得られるキャピタルゲインの「値上がり益」とインカムゲインである「配当金」があります。投資信託もほぼ同様ですが、「基準価額の値上がり益」「分配金」など呼び名が違います。

マンション経営のインカムゲインは「家賃収入」です。これは入居者がいる限り、毎月決まったリターンが入ってきます。一方、マンション経営のキャピタルゲインは、購入時よりも売却時の物件価格が上がったときの「売却差益」で、マーケット環境や景気がよいときに得やすいです。

ソーシャルレンディングは、売買をして差益を稼ぐ性格の投資ではないため、原則「金利」のみがリターンの源泉になります。

流動性

流動性とは簡単にいえば「すぐに売り買いできるのか」ということです。たとえば、貴重で高価な骨董品でも、売れる可能性が100年に一度であったら購入はためらうはずです。逆に1個10円のガムでも、11円で飛ぶように売れるのであれば仕入れる価値はあるでしょう。同じように投資手法によって流動性は大きく変わってきます。

FXは世界各国の通貨であるため、市場がお休みの土日を除けば24時間売買が可能です。また株式も証券取引所が開いている平日の9〜15時であれば売買が可能です。かたやソーシャルレンディングはお金の貸付のため、一回貸付を行ったらその運用期間の間、お金を引き出すことはできなくなります。

では、マンション経営はどうでしょう。物件の流通市場が確立されているので、知識がない人間でも物件を売買することが可能です。ただし、不動産は購入などに際して諸々の手続きも必要になります。資金はもちろん、時間にもある程度の余裕を持つように心がけましょう。

リスク

投資にはそれぞれリスクがあります。マンション経営は一般的にローリスク・ミドルリターンといわれていますが、その理由は価格の変動が緩やかであるためです。

FXや株式は変動幅が大きく、短期間で相場が大きく下落することもあります。またFXであれば大暴落に遭ったり、株式であれば会社が倒産したりすると、大規模な損失が発生することも少なくありません。なお、とくにFXがハイリスクといわれるのは、預けた資金に対するレバレッジ率が最大25倍と高いためです。

ソーシャルレンディングはお金を融資する投資手法ですので、貸付先が返済できなくなれば、お金が戻らなくなることもあります。

取引方法(窓口)

金融商品であるFX・株式・投資信託は、これらを扱う証券会社や金融機関の口座を通して取引を行います。最近では、手数料が安く手軽に取引できるネット証券が人気を集めています。マンション経営で家賃収入を得るためには、賃貸物件を購入しなければなりません。この賃貸物件は不動産会社を介して売買契約を行ないます。ソーシャルレンディングは、プラットフォーム(ソーシャルレンディング会社)を通して投資を行います。

利回り

株式の利回りである配当金は企業ごとに大きく違います。成長中のベンチャー企業であれば配当金がゼロというケースもよくありますし、もともと配当金が高く株価が値下がりしている銘柄では、配当利回りが10%近いということもあります。目安として2024年9月時点での日経平均は1.93%です。

同様に、投資信託もカテゴリごとに利回りが異なります。一例では、海外株式銘柄の20年間平均 9.9%です。ソーシャルレンディングの利回りの目安としては、業界大手のプラットフォーム「SBIソーシャルレンディング」の公表している名目利回り2.5〜10%程度となります。

マンション経営の利回りは、エリアによって異なります。傾向としては、資産価値の高い都心マンションは低利回り、地方マンションは高利回りの傾向です。都心の新築マンションの平均的な利回りは3.5〜5.0%程度です。

それぞれの投資手法のメリット・デメリット

FXのメリット・デメリット

FXのメリットは、預けたお金の最大25倍のレバレッジをかけられることです。これにより、短期間で大きなリターンを手にすることも可能です。反面、為替が激しく変動するシーンでは一瞬で元手を失い、追加で支払いを行う「追証(おいしょう)」を負担するリスクもあります。

株式投資のメリット・デメリット

FXほどではないものの、株式投資もハイリターンを狙えるのがメリットです。「信用取引」の仕組みを使えば手元資金の最大約3倍のレバレッジをかけられます。一方、経済危機や企業の業績不振・不祥事などによって短期間で株価が暴落するデメリットもあります。

投資信託のメリット・デメリット

投資信託は数多くの投資先に分散投資をしているため、一部の国の銘柄が暴落しても損失を抑えやすく、安定的に運用しやすいメリットがあります。ただし、世界的な経済危機やパンデミックの際には分散投資効果が限定的というデメリットもあります。

マンション経営のメリット・デメリット

マンション経営の投資商品としてのメリットは、経済危機や金融危機、不景気などのときにも家賃収入がほぼ変動しないことです。このほか、現物資産なのでインフレに強い資産という強みもあります。また、融資を組むことが出来るので他人資本で投資できることもマンション経営の大きなメリットの1つです。デメリットは金融資産のように短時間で現金化しにくいことです。

それぞれの投資手法が向いている人

FXに向いている人

最大25倍のレバレッジでハイリターンを狙えるため、一攫千金を目指す人と相性がよい投資手法といえます。

株式投資に向いている人

株式投資もハイリターンを狙う人と相性がよい投資手法です。とくに時価総額の少ない企業の小型株は価格変動が激しいため、ハイリターンを狙うのにうってつけです。

投資信託に向いている人

投資信託のリスクは銘柄のアセットクラスや種類などによりますが、インデックスファンドの場合はミドルリスク・ローリターンの運用が可能です。また、NISAを組み合わせると税金を抑えやすいため、節税をしながら運用したい人に向いているでしょう 。

マンション経営に向いている人

マンション経営は、家賃収入をコツコツ積み上げるインカムゲインが基本です。そのため、時間(期間)を味方にしながら、資産を手堅く増やしていきたい人と相性がよいです。具体的には、老後資金を作りたいビジネスパーソンなどに向いているでしょう。

ボラティリティの安定はマンション経営の魅力の1つ

株式やFXは短期間で大儲けすることができます。これはひっくり返せば短期間で大損をする可能性もあるということです。値幅が大きく動くのはチャンスであると同時にリスクでもあるのです。一方、マンション経営は他の投資と比較してみると、安定的に家賃収入というインカムゲインが得られます。またソーシャルレンディングとは異なり、金融機関からの融資でレバレッジがかけられるため、長い目で運用すれば最終的には大きな利益へと到達することができます。マンション経営は、ボラティリティ(資産価格の変動の激しさ)の低い投資手法です。また、現物資産で所有するため、株式のように一気に資産が失われてしまうリスクも低いと言えます。

投資にはさまざまな手法があります。リスクを低く抑える対策が豊富で、管理会社に運営を委託できるマンション経営は、本業を持つサラリーマンに合った手法と言えるのではないでしょうか。もしあなたが会社に勤めるサラリーマンで、将来に備えて資産を増やしたいと考えているのであれば、マンション経営は有力な候補になるはずです。マンション経営の可能性を一度検討してみてはどうでしょうか。

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