マンション経営でかかる諸費用を明確に把握している初心者は少ないのではないでしょうか。しかし、諸費用と一口に言っても項目は多岐にわたるため、合計すると大きな金額になります。しっかりと確認して資金不足とならないよう事前に準備しておくようにしましょう。
目次
物件購入時にかかる諸費用
賃貸物件を購入するときにかかる諸費用には、以下のようなものがあります。
不動産仲介手数料
物件購入を仲介する不動産会社に支払う手数料で購入金額が高いほど高額になるのが特徴です。法定で上限が決められていますが逆にどこまで割引するかは不動産会社によって異なります。
印紙税
不動産の売買契約書を作成するときにかかる税金です。収入印紙を売主と買主それぞれの契約書に貼付して納税します。税額は、売買の金額によって定められています。
不動産取得税
不動産を取得した場合に1回のみ納める税金です。一般的に購入した後、数ヵ月経過してから通知が届き都道府県に納付します。税額は、物件の売買価格ではなく固定資産税評価額を元に算出されるのが特徴です。
登録免許税
登録免許税は、購入した不動産を自分名義にしたり抵当権設定をしたりする登記でかかる税金です。現金で金融機関に収める方法と収入印紙で納める方法があります。
司法書士報酬
不動産登記を司法書士へ依頼した場合の報酬です。以前は、司法書士報酬規定で額が定められていましたが、2004年4月1日からは撤廃され司法書士ごとに報酬額が異なります。また実際の登記では報酬以外にも全部事項証明書の取得費用などの諸費用も請求されます。
売り主からの税金の日割り請求
土地や建物の固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に1年分が請求されます。不動産売買の慣例では、これを支払った売り主が買主にその年の年末までの日割りで固定資産税・都市計画税を請求することが多い傾向です。関東、関西など地域の違いで計算が異なります。
ローン事務手数料
物件購入でローンを利用する際は、金融機関に事務手数料を支払います。金額は借入先によって数万~数十万円と非常に幅があります。
ローン保証料
ローンの支払いが難しくなったときに返済を立て替えてくれる保証会社へ支払うのがローン保証料です。借入額や期間によっては大きな金額が必要になりますが、返済金利に上乗せして借入時に用意せずに済む保証会社もあります。
団体信用生命保険料
借主が病気や事故で亡くなったり高度障害を負ったりして返済できなくなった場合に残債を保険金で相殺するための生命保険です。死亡などに加えガンや脳卒中など三大疾病を対象とした保険もあります。
火災保険・地震保険料
賃貸物件に火災などが起きた際に被害を補償してくれる保険で多くの金融機関でローンの必須条件としていることも多い傾向です。火災だけでなく自然災害による被害や修理中の家賃を補償するなど手厚い保険もあります。
経費計上できるもの
諸費用を経費として計上すると収入から差し引くことができるため所得額を抑えることが可能です。そのため所得税や住民税を軽減することができます。物件購入時にかかる主な諸費用は、以下の通りです。
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- ローン事務手数料
- ローン保証料
- 火災・地震のための損害保険料
複数年分を一括払いしたローン保証料や火災保険料、地震保険料は、契約年数で割った金額を1年ごとに計上。例えば火災保険料を10年一括で支払ったならその額を10分割し1年ごとに計上します。
物件を所有する間にかかる諸費用
賃貸物件を所有している間にかかる諸費用は以下の通りです。
所得税・住民税
不動産所得には、所得税と住民税が課税されます。ただし前述したように諸費用を積極的に経費計上することで軽減することが可能です。
固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点で土地や建物を所有していると固定資産税と場所によって都市計画税が課税されます。それぞれの課税評価額に則り税額が決まりますが3年ごとに見直しが行われ建物は古くなるごとに税額が減っていくのが特徴です。
賃貸管理委託費
賃貸物件の入居者対応や建物の維持管理を管理会社に委託すると手数料がかかります。賃料に対して掛け率で請求するところが一般的です。
管理費
管理費は、エントランスや廊下、階段などの修理や電球交換、掃除などの費用や電気代、水道料金などに充てられる費用のことです。毎月定額を管理組合や管理会社に支払います。
宣伝広告費
物件が空室になると新たな入居者を募集するため、ネットや情報誌に広告を掲載したりチラシを作成して配布したりする費用です。
ローン利息
ローンで物件を購入した場合の支払額に含まれている利息分も諸費用となります。
修繕費
建物の築年数が経過し劣化や損傷が発生すれば費用をかけて修繕することが必要です。程度や範囲によっては、非常に大きな金額になることがあります。
修繕積立金
分譲マンションでは、将来の建物共用部分の修繕費用を準備するため、区分所有者から修繕積立金を集めています。これにより適正なタイミングで建築時に計画された修繕が行われます。
火災・地震保険料
物件購入時に複数年で一括加入していればその期間は払うことはありません。しかし年払い契約であったり複数年契約が終了したりすると都度保険料の支払いが必要です。
経費計上できる諸費用
賃貸物件を所有している間にかかる諸費用で経費計上できるものは以下の通りです。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 賃貸管理委託費
- 管理費
- 宣伝広告費
- ローン利息
- 修繕費
- 修繕積立金
- 火災保険料・地震保険料(複数年一括払いは契約年数で割った額)
減価償却費
建物は、毎年少しずつ劣化し価値が減少していくため、その減少分を減価償却費として経費に計上することができます。実際には、支出が発生しないため諸費用とはいえませんが経費計上の際は忘れないようにしましょう。それぞれの建物の耐用年数については国税庁の資料をご覧ください。
物件売却時にかかる諸費用
物件の売却時にかかる諸費用は、主に以下のようなものがあります。
仲介手数料
物件の売却を仲介する不動産業者に支払う手数料でこちらも法定で上限額が決められています。
印紙税
購入時と同様売買契約に対する課税であり契約書に定められた税額の印紙を貼ることで納めます。
登録免許税・司法書士報酬
物件売却時にローンを一括返済した際に不動産に付けられていた抵当権を抹消する登記の登録免許税です。またその登記を行ってもらう司法書士への報酬も発生します。
金融機関への一括返済手数料
売却にあたりローンを一括返済すると金融機関に手数料を支払います。金融機関によって額が異なりますが数万円程度が一般的です。
所得税・住民税
売却額から物件の取得費と売却にかかった諸費用を引いた結果がプラスになるとその売却益に対して所得税や住民税がかかります。所有した期間が5年を超えると長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得としてそれぞれの税率が課されます。
経費計上できる項目
物件売却時に経費計上できるものは、以下の2つです。
- 仲介手数料
- 印紙税
購入時に経費として扱われていた登録免許税や司法書士報酬ですが売却時には計上できません。なぜならこの2つは売却時のローン完済をするための経費となり「売却に直接関係する経費ではない」と考えられるからです。
新築マンションは修繕費を抑えられる
マンション経営の諸費用は「ある程度決まっているため抑えようがない」と考えてしまう人もいるかもしれません。もちろん税金やローン利息のように変えられない諸費用もありますが、修繕費のように物件によって低く抑えられるものもあります。ただし修繕費は、諸費用の中でも大きな金額がかかることがあるので注意が必要です。
例えば、年数の経った中古物件なら水回りの交換で100万円超の費用が発生することも考えられます。一方で新築物件なら初期費用はかかるものの当面は不意の修繕費が必要になることはありません。しかも分譲マンションなら積立金によって、計画的にメンテナンスが行われ健全な建物状態が長く保たれます。中古物件に比べて修繕費を安く抑えられる新築物件は、マンション経営の収支の安定に大きく貢献してくれるはずです。
諸費用を確認して堅実なマンション経営を
諸費用は、賃貸物件を所有する限り必ずかかるものです。不動産投資の初心者にとっては、耳慣れない項目もあるかもしれません。しかし、今回紹介している項目をしっかりと確認できれば、大きな漏れは防げるはずです。しっかりと諸費用を準備して堅実なマンション経営を目指しましょう。
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