不動産投資
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マンション経営初心者のオーナーにとって迷うのが新築と中古のどちらを選ぶかです。近年、中古マンションは空室が増加しており、収益悪化や物件価値下落のリスクが高まっています。

そこで検討したいのが新築マンションの優位性を重視した経営です。新築マンションと中古マンションはどのような違いがあるのでしょうか。マンション経営にかかる初期費用や維持費、空室リスク対策と併せて、これからの時代の物件選択を考えます。

目次

  1. 1.築40年以上のマンション数が急増
  2. 2.老朽化したマンションの問題点
    1. 2-1.修繕費増大で住環境が悪化
    2. 2-2.入居者の高齢化で空室が増える
    3. 2-3.空室が増えると物件状態は一気に悪化
  3. 3.空室はマンション経営に悪影響
    1. 3-1.家賃を下げ収支が悪化
    2. 3-2.空室になり収入がゼロ
    3. 3-3.売却は難しく価値も下落
  4. 4.新築マンションのメリット
    1. 4-1.新築は人気が高く収益発生が早い
    2. 4-2.空室になりにくく収入が安定する
    3. 4-3.売却時に価値が下がりにくい
    4. 4-4.建物状態が適切に維持される
  5. 5.マンション経営における新築と中古の違い
    1. 5-1.残存価値と利回りの違い
    2. 5-2.銀行融資の受けやすさ
    3. 5-3.家賃相場の違い
    4. 5-4.修繕費発生の可能性
    5. 5-5.瑕疵担保責任の期間
  6. 6.初心者が知っておきたいマンション経営の初期費用
    1. 6-1.マンションの取得費用
    2. 6-2.事務手数料、保証料
    3. 6-3.不動産取得税
    4. 6-4.火災保険料
    5. 6-5.登記費用
    6. 6-6.仲介手数料
  7. 7.初心者が知っておきたいマンション経営の維持費
    1. 7-1.ローン返済費用
    2. 7-2.管理費、修繕費
    3. 7-3.火災保険料
    4. 7-4.固定資産税
    5. 7-5.所得税、住民税
  8. 8.初心者向け空室リスク対策5つのポイント
    1. 8-1.好立地物件を購入する
    2. 8-2.競合物件より入居条件を良くする
    3. 8-3.質の高い不動産会社を選ぶ
    4. 8-4.新築物件を購入する
    5. 8-5.ワンルームマンションを購入する
  9. 9.初心者がマンション経営を成功させるには?
    1. 9-1.利回りばかりを意識しすぎない
    2. 9-2.自己資金に余裕がある状態で始める
    3. 9-3.マーケットリサーチはしっかりと行う
    4. 9-4.具体的な運用計画を立てておく
    5. 9-5.良い不動産会社をパートナーに選ぶ
  10. 10.空室が増える時代こそ新築が有利

1.築40年以上のマンション数が急増

国土交通省の資料によると、2020年(令和2年)末時点で築40年超のマンションは103.3万戸です。

10年後の2030年(令和12年)末にはおよそ2.24倍の231.9万戸に増大するとされています。さらに20年後の2040年(令和22年)末には404.6万戸と3.92倍となり、老朽化したマンションの急増が指摘されています。

築40年を超えたマンションは「築古物件」に分類されます。価格も安く、マンション経営初心者にとっては、投資しやすいと感じるかもしれません。しかし、築古物件には「ローンの審査に通りにくい」「修繕費が多くかかる」「耐震基準を満たしているか不安がある」といったデメリットがあります。

仮に900万円で築40年のマンションを全額自己資金で購入したとして、月7.5万円の家賃で貸し出すと回収するまでに10年かかります。その間修繕費もかかるでしょう。

回収した時点では築50年以上となるため、売却できる可能性も低くなります。マンション経営初心者が、価格が安いという理由で築古マンションを購入するのは避けたほうが無難です。

2.老朽化したマンションの問題点

マンション経営の初心者必見!空室リスクを防ぐには?新築のメリットを徹底解説
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マンションが老朽化するとどのような問題が発生するのでしょうか。

マンションの老朽化によって発生する問題
1.修繕費増大で住環境が悪化
2.入居者の高齢化で空室が増える
3.空室が増えると物件状態は一気に悪化

2-1.修繕費増大で住環境が悪化

老朽化すれば建物を修繕する費用がかかります。室内ではキッチンや浴室、給湯器、エアコンなどの修理や交換が頻繁に発生することになります。内装も日焼けや傷、汚れで見た目が悪化し、補修や張替えが必要でしょう。さらに外壁、屋根、照明器具、手摺など外部の修繕も多く、費用が次々とかかるようになります。

しかし、資金不足の物件では満足な修繕ができず住環境が悪化した場合、入居者が不満を感じて他の物件へ移ってしまうこともあるかもしれません。また建物の外観も汚れたままでは印象が悪くなるため、新たな入居者が集まりにくく空室リスクが高まってしまいます。

2-2.入居者の高齢化で空室が増える

また、築年数が経過すれば入居者の高齢化も考えられます。若い世代は収入が見込めるため、建物が古くて不便も多いとなれば、住環境の良い物件へ移っていきます。

しかし高齢者の場合、異なる環境へ移りたくない、引っ越しが億劫といった理由から転居しない傾向があり、結果的に古い物件ほど高齢の入居者が多い状態になります。

前述の国土交通省の資料にも、マンションにおける入居者の高齢化が指摘されています。築30年を超えた物件では4割弱、築40年近い物件では約半数の入居者が60歳以上の世帯となっています。入居者が高齢化すると病気などの問題で退去者が増え、空室の増加が考えられます。

2-3.空室が増えると物件状態は一気に悪化

空室が増えるとマンションの状態は、急速に悪化していきます。人の気配がなければ治安が悪化し、退去率が上がることでしょう。空室が増えると、分譲マンションなら修繕積立金が、賃貸マンションなら家賃収入が減少していきます。

このように空室のリスクが増えることで、退去者の増加と建物修繕の放置が繰り返される負の連鎖が始まり、物件は悪化の一途をたどることになります。

3.空室はマンション経営に悪影響

マンション経営の初心者必見!空室リスクを防ぐには?新築のメリットを徹底解説
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空室の増加はマンション経営の視点だとどのような事態が懸念されるでしょうか。

空室の増加によって懸念される事態
1.家賃を下げ収支が悪化
2.空室になり収入がゼロ
3.売却は難しく価値も下落

3-1.家賃を下げ収支が悪化

空室の多いマンションで入居者から退去を告げられれば、引き留めるために家賃を下げるケースが考えられます。

あるいは他の部屋が家賃を下げて入居者を募集していれば、それを見て家賃引き下げを求められるかもしれません。家賃の引き下げは収支の悪化を意味し、融資を受けていれば赤字になる恐れもあります。

3-2.空室になり収入がゼロ

周囲の空室の波に飲まれ、所有する部屋も空室となってしまい、家賃収入ゼロも考えられます。家賃収入が途絶えても維持費や税金はかかるため、蓄えを削りながらのマンション経営となります。

早急に空室を埋めたいところですが、老朽化で高齢者が多く空室も目立つ物件では、入居者探しは困難を極めるでしょう。

3-3.売却は難しく価値も下落

空室が多く建物も傷んでおり、家賃が安いとなれば、買い手がつきにくいことは容易に想像できます。所有する物件が空室であれば、売値を大幅に下げる必要もあるでしょう。

最悪の場合は赤字物件を所有し続けることになり、マンション経営としては失敗に終わる可能性が高くなります。

4.新築マンションのメリット

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老朽化するマンションが急増し、建物状態の悪さや入居者の高齢化で空室が増えると、マンション経営においては新築の優位さが際立ってきます。改めて新築マンションが入居者に選ばれる理由と、マンション経営でのメリットをお伝えしたいと思います。

新築マンションのメリット
1.新築は人気が高く収益発生が早い
2.空室になりにくく安定する
3.売却時に価値が下がりにくい
4.建物状態が適切に維持される

4-1.新築は人気が高く収益発生が早い

新築の部屋は「新築プレミアム」という言葉があるほど人気が高く、希望する入居者は根強くいます。最新の建材や設備が使われ、住み心地や使い勝手が良く快適に住める点も人気の理由です。

夏は涼しく冬は暖かく、新しいエアコンなら電気代も抑えられます。部屋も建物もきれいなうえ、セキュリティがしっかりしている物件が多く防犯面で安心できるなど、入居者にアピールできるポイントは数多くあります。

新築は都心のような賃貸需要の見込める地域であれば、入居者集めに苦労することは考えにくく、すぐに収益発生が期待できるでしょう。

4-2.空室になりにくく収入が安定する

入居者が住み心地や使い勝手に満足できれば退去する理由がなく、短期間で空室になることも考えにくいです。

新築の劣化はしばらく先で、入居者の不満は出にくく安定した家賃収入が期待できます。この収入が継続する点は、所有する部屋が一つのマンション経営では非常に重要です。

新築であれば平均以上の家賃設定が可能であり、長期に高い賃料収入が期待できることも新築マンションのメリットとなります。

4-3.売却時に価値が下がりにくい

新築で所有したマンションは、売却する際に価値が下がりにくいメリットもあります。

築年数にもよりますが、例えば10年所有しても現在の建築技術であれば極端に劣化しにくく、価値を大きく損なう状態ではないでしょう。

マンション経営では売却時の収益が重要なポイントであり、ここでマイナスとなれば所有した意味がありません。売却しやすいという点も、新築を所有するメリットなのです。

4-4.建物状態が適切に維持される

建物が適切に修繕されないことは空室発生を加速させるため、決して軽視すべきものではありません。この点で、新築であれば修繕が適切なタイミングで計画されており、入居率が高いため修繕費もしっかり確保されるという安心材料があります。

大きな修繕が必要となるのはしばらく先であり、長期間入居者に不満を感じさせない建物であることは、新築ならではのメリットでしょう。

5.マンション経営における新築と中古の違い

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マンション経営を始める場合、新築にするか中古にするかは迷うところでしょう。新築マンションと中古マンションにはどのような違いがあるのか、5つのポイントで比較してみます。

新築と中古5つの比較ポイント
1.残存価値と利回りの違い
2.銀行融資の受けやすさ
3.家賃相場の違い
4.修繕費発生の可能性
5.瑕疵担保責任の期間

5-1.残存価値と利回りの違い

新築マンションは中古マンションよりも残存価値が高いというメリットがあります。

例えば、築20年の中古マンションを購入した場合、30年運用すると築50年になりますが、新築マンションなら30年運用してもまだ築30年で十分な残存価値が見込めます。家賃収入の利回りは中古マンションのほうが、購入価格が安い分高くなります。

ただし、不動産広告で表示されているのは満室を想定した年間家賃収入を物件購入価格で割った表面利回りですので、単に利回りが高いというだけで購入するのはリスクがあります。

購入して入居者が付くまでの期間は割り引いて考えなければなりません。その点、新築はすぐに入居者が見込めるので目標の利回りを確保しやすいというメリットがあります。

5-2.銀行融資の受けやすさ

新築マンションは中古マンションよりも銀行から融資を受けやすい傾向があります。低い金利でかつ長期間という有利な条件で融資を受けることが可能です。

マンション経営にとって借入金利の差は大きく、3,000万円の融資を受ける場合なら1%の金利差で年間約30万円収益に違いが出ます。

新築マンションは購入価格が高いですが、融資条件が有利になり家賃も高くとれるため、トータルで考えれば中古マンションよりもお得になる可能性があります。

5-3.家賃相場の違い

新築マンションは中古マンションと同じ間取りでも、家賃を高く設定できます。新築マンションは「自分が初めての入居者」というプレミア感があるため、きれいなマンションに住みたいという顧客の需要を取り込むことができます。

中古マンションは経年劣化によって家賃を下げなければならない場合もありますが、新築マンションは高い家賃を維持することができる点で有利です。

5-4.修繕費発生の可能性

新築マンションは、築10年程度まではほぼ修繕費がかかることはありません。築30年以上の中古マンションは購入してすぐに修繕箇所が発生する可能性があります。

物件付属のエアコンや給湯器が故障した場合は、すぐに交換が必要で急な出費となるでしょう。中古物件を購入する場合は、内装の状態だけでなく設備が傷んでいないかも入念にチェックすることが大事です。

新築は急な修繕費がかからない分、家賃収入から将来の修繕に備えて積み立てておけるので、当初から安心して経営を続けられます。

5-5.瑕疵担保責任の期間

物件購入後に欠陥箇所が見つかった場合、売主負担で修繕する義務があることを「瑕疵担保責任」といいます。
瑕疵の代表的な事例には雨漏り、水漏れなどがあります。この保証期間が中古マンションでは2年しかないのに対し、新築マンションは10年と長いのがメリットです。

瑕疵担保責任は物件の物理的瑕疵だけでなく、近くにゴミ処理場がある、火葬場がある、部屋で昔事件や事故があったなどの話を買主が知らされていなかった場合、環境的瑕疵や心理的瑕疵を問うことができるケースもあります。

新築マンションと中古マンションの比較

新築マンション中古マンション
価格3,000万円台~(1ルーム、新宿区)2,000万円前後~(1ルーム、新宿区)
利回り・残存価値利回りはやや低いが残存価値が高い利回りは高いが残存価値が低い
銀行融資低金利で長期間の融資が可能審査が厳しい
修繕費初期はほとんどかからない築古ではすぐにかかる可能性がある
空室リスク低いやや高い
売却買い手が付きやすい買い手が付きにくい
瑕疵担保責任10年2年

※価格は東京都新宿区のワンルームマンション物件の一例です。およその目安としてお考えください。

6.初心者が知っておきたいマンション経営の初期費用

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マンション経営初心者が知っておくべきことは、マンション経営の初期費用は物件の購入代金だけではないことです。資金計画を立てる場合は、初期費用全体を把握して予算を確保する必要があります。

6-1.マンションの取得費用

マンション経営で最も大きな初期費用は物件の取得費用です。マンションの購入費用は減価償却費として経費に計上できます。

株式会社不動産経済研究所の調べによると2021年の新築分譲マンションの平均販売価格は、全国平均で5,115万円となっています。ただし、平均価格はエリアによって大きく水準が異なり、首都圏は6,260万円、近畿圏は4,562万円と開きがあります。

物件を選ぶ方法は、予算の範囲内でエリアを決めるか、希望するエリアのなかで予算に合う物件を探すかの2つがあります。

6-2.事務手数料、保証料

ローンを申し込むときに手数料として金融機関に支払うのが事務手数料です。借入金額に対し一定の割合で支払う「定率型」と、3~6万円程度の決まった金額を支払う「定額型」があります。

また、ローンを組むときには保証会社を立てるのが一般的ですが、ローン申し込みの際に保証料を支払う必要があります。支払い方法は、借入金利に上乗せして毎月の返済額に組み入れる方法と、借入時に一括して支払う方法の2つがあります。

6-3.不動産取得税

マンションを購入すると不動産取得税が課税されます。税額は「課税標準額×税率」で計算されます。課税標準額は購入した時価ではなく固定資産税評価額が使われ、土地の場合は時価70%程度、建物の場合は50~60%が目安とされています。

国税ではなく地方税なので、購入してしばらくすると自治体から納税通知書が送られてきます。不動産取得税の税率は下表の通りです。

原則税率軽減税率(2024年3月31日まで)
宅地固定資産税評価額×4%固定資産税評価額×1/2×3%
住宅固定資産税評価額×4%固定資産税評価額×3%

6-4.火災保険料

マンションを購入すると、火災保険への加入が義務づけられます。火災保険料の相場はマンションでフルカバーの保証の場合、年間8,000円~1万1,000円程度といわれています。

6-5.登記費用

購入した物件を登記する際は費用がかかります。登記費用は登録免許税、司法書士報酬(依頼する場合)、書類の発行手数料の合計です。登録免許税の税率は下表の通りです。

登記の種類登録免許税の税率
所有権移転登記土地購入 評価額×2.0%
土地相続評価額×0.4%
建物相続評価額×0.4%
中古建物購入評価額×2.0%
所有権保存登記新築建物購入 評価額×0.4%

日本司法書士連合会が行った司法書士アンケートによると、中古マンションを購入した場合の所有権移転登記の司法書士報酬相場は2万2,000円~15万円、新築マンションを購入した場合の所有権保存登記相場は1万3,000円~5万5,000円となっています。

(参照:日本司法書士連合会「司法書士の報酬」

6-6.仲介手数料

マンションを購入した際は不動産会社に仲介手数料を支払います。手数料の金額は物件価格によって下表の通り上限が決められています。上限額以上の手数料を請求された場合は違法ですので注意しましょう。

売買金額手数料の金額
400万円以上物件価格(税抜)×3%+消費税
200万円以上400万円以下物件価格(税抜)×4%+消費税
200万円以下物件価格(税抜)×5%+消費税

7.初心者が知っておきたいマンション経営の維持費

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マンション経営が始まると、毎月または年に数回経営を維持するための経費が発生します。不動産投資初心者は初期費用に加えて、定期的にかかる維持費も把握して資金計画に取り入れる必要があります。

7-1.ローン返済費用

不動産投資ローンを組んで物件を購入した場合は、毎月ローンの返済を行います。ローンの元本返済部分は経費になりませんが、利息部分は経費として計上できます。

7-2.管理費、修繕費

管理費はマンションの共用部分の点検・清掃・維持などにかかる費用です。分譲マンションではオーナーが管理組合に支払い、管理組合から不動産管理会社にまとめて入金されるのが一般的です。修繕費は長期修繕計画に基づいて支払う修繕積立金と、個別の部屋に不具合が生じた場合にかかる修繕費用に分かれます。

7-3.火災保険料

火災保険は月払いの場合は維持費となります。これに加え、2011年の東日本大震災以来、地震に対する備えが強く叫ばれるようになりました。

将来的には南海トラフ地震や首都直下型地震も起こるとされていることから、地震保険への加入も必要と考えられます。地震保険の保険料は保険金額1,000万円あたり非耐火で年間1万1,000円~3万6,000円程度、耐火で6,000円~2万2,500円程度が目安となっています。

(参照:火災保険節約術「保険料相場と適正価格」

7-4.固定資産税

毎年1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている固定資産に課税されます。固定資産税率の計算式は、「固定資産税=評価額(課税標準額)×標準税率1.4%」です。

7-5.所得税、住民税

マンション経営の結果、年間収支で利益が出た場合は確定申告を行い、所得税と住民税を納税する必要があります。サラリーマン大家で不動産所得が赤字になった場合は、給与所得と損益通算することができます。

8.初心者向け空室リスク対策5つのポイント

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初めてマンションを経営する場合に、一番心配なのは空室リスクです。ここでは、マンション経営初心者向けにシンプルな5つの空室対策を紹介します。

5つの空室対策
1.好立地物件を購入する
2.競合物件より入居条件を良くする
3.質の高い不動産会社を選ぶ
4.新築物件を購入する
5.ワンルームマンションを購入する

8-1.好立地物件を購入する

マンション経営を成功させる基本は好立地物件を購入することです。具体的には東京23区や主要都市で、駅徒歩10分以内の物件です。

東京23区は人口密度が高く、1つのマンション周辺には多くの人口を抱えています。常に入居の需要があるため、たとえ空室が出ても短期間で次の入居者が決まる可能性が高いといえます。

また、好立地物件は万一売却を考える場合でも、買い手がつきやすいため早めに現金化することが可能です。

8-2.競合物件より入居条件を良くする

自分が経営するマンションの周りには、いくつかの競合物件が存在します。顧客は少しでも家賃が安くて条件のよい物件を求めています。家賃や入居条件を決めるときは、まず周辺の競合物件がどの程度の家賃や入居条件で募集しているのかをリサーチすることが大事です。

自分が希望する家賃設定が競合物件に比べて著しく高い場合は調整する必要があります。もちろん、自分の物件が新築であれば周辺の中古マンションよりは高い家賃に設定できますが、どの程度の高さなら入居者を確保できるかは、不動産会社が薦める金額の範囲で決めたほうが無難です。

8-3.質の高い不動産会社を選ぶ

マンション経営を続けていくうえで不動産会社との付き合いは長期的に続きます。とくに空室が出たときに積極的に動いてくれる不動産会社は頼りになります。質の高い不動産会社を選ぶことによって、短期間で空室を埋めることができるのです。

8-4.新築物件を購入する

先にも紹介したように、新築物件は中古物件に比べて多くのメリットがあります。

初めてのマンション経営では入居者がつくことで自信につながりますので、入居者が付きやすい新築物件を購入することは空室対策として大事なポイントです。

また、新築マンションは修繕費が発生することはほぼないので、余計な出費がかからない点でも有利です。

8-5.ワンルームマンションを購入する

これから日本は単身世帯の割合が増えていく見込みであることを考えると、ワンルームマンションを購入することが空室リスクを少なくする有効な方法と考えられます。

東京都の調査によると、東京都の世帯割合における単身家庭の割合は、2015年の47.3%(確定値)から2035年には50.4%(推定値)と、初めて過半数を超える見込みです。

東京都の家族類型別世帯割合の推移

年次単独夫婦のみ夫婦と子供ひとり親と子供
2000※40.916.927.97.3
2005※42.517.425.97.7
2010※45.817.123.97.5
2015※47.317.023.57.6
202048.316.822.97.6
202549.016.922.47.6
203049.617.121.87.6
203550.417.221.37.6
204051.217.520.77.4
(単位 %)
「※」の付いた年次は実績年を示す。
(参照:東京都「東京都世帯数の予測」の概要

そのような将来推計を考えると、今からワンルームマンションに経営の軸足を置いておくことは有効です。ワンルームマンションは価格が比較的安価なため、複数経営をしやすいというメリットもあります。1戸目の経営が軌道に乗ったら2戸目の購入を検討するのもよいでしょう。

9.初心者がマンション経営を成功させるには?

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初めてマンション経営を行う場合、不安な点も多いでしょう。初心者がマンション経営を成功させるには、次の5つのポイントに注意することで、マンション経営を成功に近づけることができます。

9-1.利回りばかりを意識しすぎない

マンション経営において利回りは重要な判断材料ですが、意識しすぎると物件選択を誤ることがあります。一般的に中古マンションは価格が安いと利回りが高くなる傾向があります。

ところが、中古マンションの広告に掲載されている利回りは表面利回りなので、空室損や修繕費などを引いた実質利回りでは新築マンションより低くなる可能性があるのです。表面利回りの高さに釣られて購入すると損する場合があるので注意が必要です。

9-2.自己資金に余裕がある状態で始める

マンション経営は、自己資金に余裕を持たせて始めることが必要です。自己資金とは融資を受ける際に入れる頭金だけでなく、経営開始後の出費に備える手元資金の両方を指します。自己資金に余裕がないと、サラリーマン大家の場合給与から補填することになり、事業と生活の区別が曖昧になります。

9-3.マーケットリサーチはしっかりと行う

所有する物件の周辺には多くの競合物件が存在します。自分の物件の入居者を確保するには競合物件との競争力を高める必要があります。物件を購入する前に競合物件の家賃や、周辺の客層などをしっかりマーケットリサーチして、自分の物件が選ばれやすくすることが大事です。

9-4.具体的な運用計画を立てておく

マンション経営を成功させるには、始める前に具体的な運用計画を立てる必要があります。運用している物件をローン完済後に売却するのか、賃貸を続けて年金代わりにするのか、あるいは1戸目の運用が軌道に乗ったら2戸目の購入を考えるのか、出口戦略によって資金計画も変わるからです。

9-5.良い不動産会社をパートナーに選ぶ

不動産会社はマンション経営の大事なパートナーです。選んだ不動産会社によって経営の結果にも影響が出ます。パートナーとして安心できる会社としては、「上場不動産会社」「有名不動産チェーン店」「地元で長く営業している不動産会社」などです。

10.空室が増える時代こそ新築が有利

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人口減少が続くこれからの日本のマンション経営において、新築を選ぶか中古を選ぶかは重要な課題です。老朽化したマンションが増えることが予測されるなか、中古を選んだ場合は物件同士の競争が激しくなることが考えられます。家賃を下げても空室が解消されなければ、そのマンションの住環境はさらに悪化していくでしょう。

一方で新築はさらに希少性を増します。入居者は環境の整った住み心地の良い物件へ集まると考えられ、特に人口増加が続く都心では新築に継続した需要が見込めるでしょう。

環境の悪化で、中古マンションから離れた人たちが、新築の良さを見直すことも考えられます。いずれにせよマンションの空室が増える時代でも、新築の優位性は揺るがないでしょう。

初めてのマンション経営を成功させるためのキーワードは「好立地」「新築」「ワンルーム」です。マンション経営のコストを把握し、空室対策をしっかり行いながら、新築マンションで安定した経営を目指していきましょう。

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