孫に財産を「相続」させるには?節税しつつ「争続」を回避する方法
(画像=VGstockstudio/Shutterstock.com)
平 行男
平 行男
ライター/合同会社スクライブ代表。主にビジネス、マネー、IT領域で、経営者インタビューやプロダクト紹介、導入事例紹介、イベントレポートなどのコンテンツ制作を担う。年間数冊のブックライティングも行う。

「自分の財産を相続させるとしたら、妻や子どもだけでなくかわいい孫にも相続させたい」そんなことを考える人も多いかもしれません。実際に「孫への相続」を実行するにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは簡単に、孫への相続方法を説明します。

孫に相続させる方法5つ

(1)遺言書で孫を指定する

血縁関係者のうち実際に誰が法定相続人になるのか。民法では遺産相続を受ける「相続人」には優先順位が定められており、以下のとおりとなります。 1位:被相続人の「配偶者」 2位:「子供」 3位:「両親」 4位:「兄弟姉妹」 (国税庁 「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」より)

このように「孫」は民法上、遺産の「相続人」ではないため、被相続人(亡くなった人)に配偶者や子どもがいて生存中なら、孫が法定相続人になることは基本的にありません。

ただし、これは民法によって定められた「法定相続人」の話。遺言書を残せば遺産の分け方は被相続人がある程度自由に設定できますので、孫に相続をさせたいと思ったら遺言書でその意思を示せば、基本的には遺言書どおりに相続は執行されます(例外については後述)。

(2)孫と養子縁組する

孫を法定相続人にする方法もあります。それは養子縁組をすることです。養子縁組をして実子と同じ法定相続人になることで、遺言書を書かずとも、遺産を孫に受け渡すことが可能です。養子縁組の手続きは非常に簡単で、戸籍のある役所に届け出用紙を出すだけです。

孫を養子縁組して法定相続人を増やせば、相続税の計算の際に使える基礎控除額が増えるため、トータルで相続税を減らせるというメリットもあります。ただし養子縁組した孫(いわゆる孫養子)に対しては、「2割加算」が適用される場合があるので、その点は注意が必要です。(後述)

(3)孫を生命保険の受取人にする

孫を受取人に指定して、生命保険(死亡保険)に加入しておく方法も考えられます。生命保険金は遺産分割協議の対象ではないので、財産争いに巻き込まれることなく、指定した人が必ず受け取れます。

しかし、生命保険金は「みなし相続財産」といって、税法上のルールでは相続財産とみなされてしまい、相続税または贈与税の対象となります(どちらになるかは被保険者・契約者・受取人が誰になるかで変わってきます)。

しかも孫は法定相続人ではないので、「生命保険金の非課税枠」(500万円まで非課税)も使えません。また、先ほどから説明している「2割加算」の対象にもなるため、保険金額によってはかなりの相続税が発生します。

(4)毎年110万円以内でコツコツと生前贈与する

節税をしつつ孫に財産を渡す現実的な方法としては、生前贈与が手軽といえるでしょう。贈与には贈与税がかかりますが、1年間に110万円までの基礎控除があります。毎年110万円以内の金額を贈与していくのなら、贈与税を支払うことなく孫に財産を渡すことができます(暦年贈与)。

ただし、例えば「まったく同じ日に同じ金額を受け取っていた」場合は、先にその総額を受け取ることが約束(契約)されていたとみなされ、贈与税がかかる可能性があります。そのため毎年金額や日付は変えておくほうがよいでしょう。

他にも生前贈与には細かい注意点や記録しておくものもあるため、この方法をとる場合も、安易に考えないほうが賢明です。

(5)「教育資金の一括贈与に係る贈与非課税措置」を利用する

「教育資金の一括贈与に係る贈与非課税措置」を利用する方法は、簡単に言えば「30歳未満の孫の教育資金なら1,500万円までは非課税で贈与できる」という仕組みです。教育資金には、学校の入学金や授業料のほかに、学用品の購入費、修学旅行費、塾・習い事の費用も含まれます。

手続きがやや面倒ではありますが、大きな額を税金なしで贈与できる点は魅力です。孫の教育資金を支払うということは、孫の将来に投資をすること。それはどんな多額の財産を相続させるよりも、有意義なことと言えるでしょう。

孫に遺産相続させる際の注意点

遺留分の侵害には要注意

上記の方法で遺言書を残す際、注意したい点があります。それは遺留分の侵害という問題です。

遺留分とは、法定相続人が最低限もらうことのできる割合のこと。被相続人の配偶者、子ども、親には遺留分が認められています。例えば法定相続人として配偶者と子どもが2人いる場合、全体の遺留分は2分の1です。つまり、妻は全財産の4分の1、子ども2人は全財産の8分の1ずつを、遺言書の内容にかかわらず主張できるということです。

たとえ遺言書に「全財産を孫に渡す」と書いてあったとしても、妻や子どもが「遺留分をもらう」と請求した場合には、孫は最大でも2分の1しか財産を受け取ることができません。

孫は「2割加算」の対象に

もう一つ知っておきたいのは、相続税額が高くなってしまうおそれがあることです。被相続人の配偶者や子ども以外の人が財産を相続した場合には、相続税額が2割加算されるというルールがあります。

なお、子どもが亡くなっていたために代わりの法定相続人(代襲相続人)になった孫には2割加算は適用されません。

簡単に「孫への相続」について見てきました。実際に相続方法を決めて行動する際には、後々のトラブル回避のためにも自己判断せず、信頼のおける専門家へ相談するよう心がけてください。

>>【無料eBook】30代で知りたかった「お金」の極意 後悔しない8つのポイント

【オススメ記事】