最終更新日:2024/05/08
 
世界と比べる!東京の不動産価格
(画像=Pixsooz/Shutterstock.com)

先進諸国の低金利を背景に、世界の大都市の住宅価格は値上がりを続けています。一方、国内市場もいざなぎ景気を越える、戦後2番目にも及ぶ長期的な好景気に湧いており、それにともなって、不動産市場でも、都心を中心に堅調な推移を続けています。

このため、不動産投資家の中には、大まかにでも海外と国内、それぞれの不動産価格について知りたいという人が増えてきています。そこで本稿では、日本の首都である東京の不動産価格について、国外と比較してみることにします。

目次

  1. 東京の不動産価格はまだまだ割安
    1. 加熱気味のアジアの大都市、堅調な東京
  2. 詳細な分析から見えてくる、東京の不動産の価値
  3. イールドスプレッドとは
    1. イールドスプレッドを比較してみると東京が一番高くなる
  4. まだまだ続く東京の再開発
    1. 東京は伸びしろがある

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東京の不動産価格はまだまだ割安

世界,不動産
(画像=THINK b/stock.adobe.com)

日本不動産研究所が5月に発表した世界の大都市の不動産価格を比較する「国際不動産価格賃料指数」(2023年4月)では、東京(港区元麻布)のマンション価格を100とした場合、以下の通りです。

香港 242.7
ロンドン 181.7
上海 155.8
台北 156.9
ニューヨーク 132.1
シンガポール 129.8
北京 124.2
シドニー 109.6
東京 100.0

(参考:一般財団法人 日本不動産研究所 2023年4月の国際不動産価格賃料指数

東京はシドニーに次ぐ9位で、主要都市と比較すると、まだまだ割安であることがわかります。

ロンドンやニューヨークのみならず、アジアの香港、シンガポールと比較しても不動産価格、賃料のいずれも低いため、割安であるといえるでしょう。

加熱気味のアジアの大都市、堅調な東京

不動産価格の変動率について2022年10月と比べてみると、東京は1.1%の上昇で、ニューヨークに次いで5位でした。

日本よりも上にランクインした都市はすべてアジアの都市で、1位は外国人駐在員層等 の賃貸需要の回復が顕著だったシンガポールが6.5%の上昇を示し、2位がシドニーの4.6%、3位は大阪の2.1%となりました。

なお、東京の不動産では、マンション価格が1.3%、賃料が1.4%の上昇と堅調に推移しています。

こうして比較してみると、香港市場は中国本土からの投資が盛んでやや加熱気味であり、一方、日本の場合、現在の金融緩和や低金利などもあいまって、今後も底堅い動きを示すことが予測されます。

さまざまな海外リスクを差し引いても、国内不動産市場の方が安定的であることは間違いありません。

詳細な分析から見えてくる、東京の不動産の価値

東京,不動産
(画像=Phattana/stock.adobe.com)

一見したところ、東京の不動産の利回りは、ここ数年でやや低下気味になってきています。

不動産の評価方法の一つにキャップレート(還元利回り)というものがありますが、これは簡単にいえば、不動産の純収益を不動産価格で割ったものです。

賃料の上昇よりも、価格上昇が大きければ、キャップレートの比率は下がることになります。10年前、東京の住宅用不動産のキャップレートは5.5%程度ありましたが、現在は約4%にまで低下してきています。

このため、「東京の不動産はやや割高になりつつあるのではないか」と思っている人もいるかもしれません。

しかし、より詳細に分析をしていくとその実態が異なることが見えてきます。

イールドスプレッドとは

東京,不動産
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不動産は金融機関から資金を調達し、投資を行います。金利が低ければ低いほど、調達コストは低くなり、投資のレバレッジが効くことになります。

この判断を行うには「イールドスプレッド」と呼ばれるものが参考になります。

イールドスプレッドとは、先述したキャップレートと10年国債の利回りとの差異を指します。

ニューヨークの不動産なら米国の10年国債の利回りで計算し、東京なら日本の10年国債の利回りを使います。

イールドスプレッドが高いほど、投資のレバレッジが利き、利益は出やすいのです。

イールドスプレッドを比較してみると東京が一番高くなる

ニューヨークやロンドン、シンガポールと東京のイールドスプレッドを比較してみると、実は東京が一番高くなります。

ご存知の通り、マイナス金利政策を実施している日本は、資金調達コストが低いため、東京の不動産投資は妙味があるというわけです。

海外の大都市の不動産と比較してみると、東京の不動産がまだまだ割安であり、外国人投資家も積極的に投資をしているのは、こういう理由からなのです。

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まだまだ続く東京の再開発

再開発,東京
(画像=vichie81/stock.adobe.com)

今、東京の街は大きく変貌を遂げています。政府は2020年の東京オリンピック開催を契機に、以降の訪日外国人の増加を狙っています。

渋谷、丸の内、虎ノ門、品川エリアででは、国際都市としての機能を高めるために、商業施設やホテル、新駅の建設が急ピッチで進んでいます。

東京は伸びしろがある

シンガポールや香港よりも、東京のほうが「伸びしろ」があると指摘する専門家もいます。

野村総合研究所の予測によれば、2020年以降も日本の名目GDPは、インドを始めとする新興国に追い抜かれることはなく、アメリカ、中国に続く世界第3位を維持するとみられています。

海外の投資家の目に日本は、政治・経済・社会的にもアジアの中では最も安定した国であり、再開発の続く東京の不動産は、最も安全で成長が期待できる投資対象として映ることでしょう。

国際的な視点で考えると、東京の不動産はまだまだ割安で、魅力的な市場なのです。

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